随筆集「念ずれば花ひらく」
著者 坂村 真民
出版元 サンマーク出版
バックナンバー
この本は、著者がその生い立ちや、敬愛する一遍上人のことなどを、詩を交えながら書いた随筆集です。最初は、女手一つで五人の子供を育て上げてくれた母の偉大さを書いていますが、徐々に宗教色の強いものとなり、時宗の開祖・一遍上人を敬愛する気持ちや釈迦世尊の教えを朗々とした文章で書き綴っています。
私が、一番、感動した詩を書き出してみます。
題「生きてゆく力がなくなるとき」
死のうと思う日はないが
生きてゆく力がなくなることがある
そんな時お寺を訪ね
わたしはひとり
仏陀の前に座ってくる
力わき明日を思うこころが
出てくるまで座ってくる著者は言っています。「長男の私は目ばかりが大きくて、感受性の鋭いひ弱な子供だった。八歳の時、父が急に亡くなり、いよいよ人間のいのちを見つめるものがわたしの心の中に大きく芽生えはじめていた」と。彼は、家人の誰よりも早く起き、小鳥のさえずりや空や月を見て遊ぶ、孤独な少年でした。
孤独故に、いのちは淋しいものだ。著者は、そう思っていたのかもしれません。
しかし、釈迦の教えに出会ったとき、著者は変わっていくのです。 釈迦の教えの真理は、「無常を説いて、その無常を生き抜く、人間の美しさを八十年の生涯身を持って示された」と知るのです。
冬生まれの著者は、冬を嫌いだった自分が、冬を好きになっていく、そんな不思議な心の変化も感じます。そして、孤独から解き放たれ、温かい気持ちで、世の中を、自分を、他人を、愛する事が出来るようになるのです。
「生きていく力がなくなるとき」
私にもあります。
しかし、この本を読み、人生はお金でも、名誉でもない。ただひたすらに、生きていくことだけで、素晴らしいことなのだという、釈迦の教えを知り、私も、また、世の中を、他人を、自分を、愛しながら、ただひたすらに生きていこうと静かに慰められた一冊でした。
ご意見、ご感想などは右記の電子メールまでお願いいたします。 desk@hjcenter.ne.jp