「あんぱんまん」の思いは……

その14 中島佐恵子

 

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近所のパン屋さんが「アンパンマン パン」と「ピカチュウ パン」を売っている。
どちらも1個80円。通常のあんぱんより一回り小さい子ども向けの商品だ。

ところがこのパンの中身に驚いた。アンパンマンパンの中身が、なんとチョコレート なのだ。なぜ? なぜ「あんこ」じゃないの? ピカチュウパンがクリームだから、 洋風でそろえたの? 聞いてみると、最近はあんこが食べられない子どもが多く、こ のためやむなく「あんこ」を「チョコ」に変えたのだそうだ。小豆の栄養や美味しさ も知ってもらいたい筆者はおもわず「それでもあえて、チョコと並んであんこのアン パンマンパンもつくってください!少しでいいから!」とパン屋さんに頼んでしまっ た。

食生活は、「慣れ」なのだろうなとつくづく感心した。あんこが苦手というのも、店 であまり登場しないからに違いない。゛いただきもののおまんじゅう″なんて聞かな くなった。いただきものは洋菓子が主流だろう。子どもがいるお宅へのおみやげとな ればなおさらだ。冬、ストーブに鍋をかけて豆を煮、おしるこを食べるなんてことも 今はない。少しづつ、こうした食生活の変化が子どもを和食から遠ざけ、小豆との縁 も薄れさせているのではないか。

豆もそのひとつだが、乾物は特に若い家庭では馴染みが薄い。近所(東京)で中学生 カ以下の子どもをもつお母さんに手当たり次第聞いてみたが、10人中、「切り干し大 根」を料理するお母さんは3人だった。この10人を一般化することはできないが、半 数以下というのは現実的な数字かもしれない。3人の子どもをもつ38歳の女性は、乾 物はもどすのが手間でなかなか手を出せない」と話した。

昔なら、家庭におじいさん、おばあさんがいて、昔ながらの煮物などが食卓に上って おり、若い世代はたとえそのときに好きじゃなくても、いつの日か思い出して毎日で も食べたいと思うときが来たりする。しかし、今の子どもや若いパパ・ママには世代 の異なる祖父母が身近にいないケースが多い。ついつい、子どもが好む料理ばかりが 食卓に並んでしまう。なんとか、少しでも昔ながらの゛繊維たっぷり、噛みごたえ しっかり″料理に出会う機会を多くしたい。

「ぼくはあんぱんまんだ。いつもおなかのすいたひとをたすけるのだ。ぼくのかおは とびきりおいしい。さあ、はやく!」と、困っている人やこどもに自分の顔を食べさ せていた「あんぱんまん」。原作のあんぱんまんがあんこの栄養素などを考慮してい たのかどうかはわからないが、身近でだれにでも親しまれているからあんぱんだった のだろう。今あんこを食べない子どもも、いつかファンになる日がきますように。

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