《月刊連載》パート8、1年を振り返って編     花岡 清白

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 梅雨明け宣言も出され、本格的に夏に突入。毎日暑い日が続きますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 病院で働き始めて1年が経ちました。速いものです。私は勝ち気で気が強く、頑固なくせに、打たれ弱いという1面を持っています。内向型というのでしょうか。人から怒られると、心の中では猛反発しているくせに、「すいません」と謝ってしまうのです。そして、その謝り方が、「すいませーん」と明るく言えればいいのですが、どうしてもいえなくて、怒った人は余計に腹が立ってくる様なのです。

運命  勤務し始めて3カ月ぐらいまでは、毎日の様に、怒られてばかりいました。怒っていたのは、PTの先生のうちの一人で、後、半年で退職という年のいった先生です。私の会計伝票を打ち出すのが遅いとか、患者さんの処置内容を間違って書いているとか、新しい患者さんのカルテを整形外科から取ってくるのが遅いとかそんな内容でした。

 今日も怒られるのだろうかとびくびくと出勤し、やっぱり怒られて帰る。毎日、もう辞めたい、そんなことばっかり考えていました。そんな中で、私を助けてくれたのは、○○さんというリハビリの助手をしていた方でした。一緒に1時に退社するということもあり、リハビリ室を出た瞬間から、その方に私はぐちばかりこぼしていました。「また、◇◇先生に怒られた。もう嫌。辞めたい」。着替えのロッカールームも一緒だったので、着替えている間もずっとぶつぶつ言っていました。

 ○○さんは、私より、約3カ月速くリハビリに配属された方で、年齢差はありましたが、友達感覚で話せる、とてもきさくな方でした。「いいやん。◇◇先生は自分がいらいらしてくると人にあたる人なんやから。たまに患者さんにもあたってるやろ。ほっとき。私も、最初のころは怒られてばっかりで、旦那に、もう辞めるってずっと言ってたわ」。

 人間、不思議なもので、人に話すとホッとするのでしょうか。○○さんにぐちり、今度は家に帰って、友達に電話し、「むっちゃ、むかつく先生がいる」と延々と悪態をついていました。

 ○○さんは、最初の半年ぐらいは、仕事を覚えるのに手間取っていた様ですが、昨年の秋ぐらいには、手慣れた感じで、ホットパック作りから首や腰の牽引の機械の操作まで、物理療法と呼ばれるもののいっさいをさばいていました。そのうち、余裕のある日は私の仕事の一部まで手伝ってくれる様になり、私達はペチャクチャとおしゃべりしながら仕事をしていました。

 それなのに、今年4月、突然、○○さんに人事異動の話が出ました。病院側の人員削減によりリハビリの助手には別の人が入るので、婦人科の受け付けに回ってくれないかというものでした。

 「そんなん、せっかく仕事覚えたのに、また、新しい所でやっていく自信ないわ」

 ○○さんも私とよく似て、ちょっといじめられやすいタイプです。「私、本当は人見知りするねん」という○○さんを今度は私が聞き役になり、エールを送っていたのですが、彼女は最終的に異動には応じないと言って退職しました。

 4月には、新しいPTの先生と新しい助手の方が入り、リハビリ室の雰囲気もガラリと変わりました。でも、私が寂しくなったのはいうまでもありません。○○さんとは、何かあると家に電話したりするまで仲良くなっていたのですから。

 さすがに、1年が経ち、よく怒っていた先生も滅多に怒らなくなりました。でも、1年続けてこれたのは、○○さんがいてくれたからだと私は思っています。

 先日、○○さんが電話をくれました。「新しい就職先、みつかったの」と。「でも、なんか、仕事内容が難しくて、アホな私にできるかどうかわからへんわ」。「大丈夫ですよ、○○さんは人に好かれるし」。

 本当に優しく、気のつく方でした。そんな方に出会えた運命みたいなものに、とても感謝しています。

 1年が経ち、病院日誌も今回で終わりにしたいと思います。リハビリのこと、少しはわかっていただけたでしょうか。楽しんで読んでいただけたでしょうか。ご愛読ありがとうございました。次回からは、バージョンを変えて、また、連載していきます。こうご期待を。  

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