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中国通信タイトル

〔135〕  浅井裕理


また食の安全問題が勃発、今度は食用油

 かなり以前から、中国の新聞やニュースで「地溝油」という単語を見聞きするようになった。字面だけみると、「地面の溝の油」。下水道の油みたいな名称だが、まさにその通り。

 レストランの残飯や廃油などの廃棄物を、再利用して加工した油で、食用油として安価で売られているという。周囲の中国人も頻繁に話題にしていて、「注意したほうがいいよ」と声をかけられることも多かった。

 でも、家で使う油はほとんどが海外からの輸入品だし、普段利用するレストランも「高級」の部類に属しているので、それほど不安は感じていなかった。

 4月3日の北京の地元紙を見て、うんざりした。

 浙江、安徽、上海、江蘇、重慶、山東の6省(直轄市)の警察が3月31日、「地溝油」の工場13カ所を摘発し、製造中のものを含めて食用油3200トンを押収したという記事。容疑者100人以上が拘束された。今回報道された「地溝油」の原料は、残飯や廃油ではない。

 屠殺場から運ばれた豚や牛や羊などの動物の皮、肉、内臓などだという。こういった新型「地溝油」が食品市場に出回っているというのだ。

加工・転売して、「油ロンダリング」

 当局によると、これらの油は、あちこちに出荷された後、加工、転売され、食品メーカーにも売られている。マネー・ロンダリングならぬ、「油ロンダリング」である。地元の小さな農家や工場が、部屋の片隅でコソコソと製造し、その近所で売られ、地元で使用されているだけではない。違法工場は、上海などの都市部にもあり、大規模なラインで製造している。そして食品メーカーの工場に売られ、加工食品や鍋つゆなどの製造に使われる。

 新聞を読んで以来、近所のスーパーに行っても、加工食品を買う気がしなくなってしまった。日系食品メーカーも中国にたくさん進出しているが、それらの工場が仕入れている油は安全なのか。食用油のようにビンで売られているのであれば、沈殿物が多かったり、にごっていたり、変な臭いがしたりして、判別は可能だという。でも、加工食品になってしまえば、見分けるのは難しい。

 このニュースに関連して、不思議かつ不安な点がもう一つある。これらの油が原因であるという、健康被害の報告を目にしたことがないのだ。私が見落としてしまっているだけなのか。それとも報道されていないのか。考えるだけで気持ちが悪くなってくる。


浅井裕理 E-mail yule@ht.rol.cn.net
  運営サイト http://www.yule.jp/
中国の大手新聞社で翻訳・編集の仕事をするかたわらITや自動車関係のコラムを執筆。
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