北堀へるん その3 まだいるぞ、福州園! |
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なんと、「沖縄の思い出」の2回目を書いてから、すでに1年が経過してしまっている。この紀行文の更新をそれだけしなかったわけである。ああ、なんということだ。「光陰矢の如し」というけれども、まさにその通り。なんとなく敬遠している間に、アッという間に、1年が過ぎ去ってしまった。
思い返せば、2002年7月中旬に沖縄旅行に出かけたわけだが、目の前のカレンダーを見ると、すでに2003年11月20日となっている。正確には1年半が経過していることになる。ガラス窓の向こうには小雨まじりの寒そうな景色が広がっている。エアコンからはすでに生温かい風が吹き出していて、寝ぼけ眼の顔に容赦なくあたる。 なんということだ。時はとどまることを知らない。するすると前進し、忘れ物をしたからといって、「しまった。ちょっと待ってね」などといって、逆戻りはしてくれない。天地茂ではないが、まさに「非情のライセンス」なのだ。こんな気分の中で1年半前の旅行の思い出が書けるのだろうか。と、パソコンのキーボードの前でハタと首をひねる。 ともかく、デジタルカメラで撮影した沖縄の写真を見ることにした。そうすれば、当時の気分を取り戻せるのではないか。山口百恵ではないが、プレイバック、プレイバック、というわけだ。デジタルカメラは便利だ。パソコンにデータを取り込んでおくと、実に簡単に見ることができる。画面上には、沖縄旅行で撮影した写真が次々と出てくる。 福州園で撮影した写真が10枚程度あった。それをひとつひとつ見ていると、だんだんと気分が出てきた。その時の園内の雰囲気が頭の中にもやもやと再生され始めた。アラジンの魔法のランプのような感じだ。目をつぶって思い出す。すると、福州園の近くで昼食をとった中華料理店の思い出が鮮明に脳裏に浮かんできた。 福州園を出たのが昼ごろだったので、食事をしようと思って、近くの食堂を探した。すると少し離れていたが、こぎれいな中華料理店があった。店の外観は大阪などのビジネス街にある普通の中華料理店と同じなのだが、中に入ると思ったより店内は広くて、きれいに掃除も行き届いていた。あれっ、と驚いた記憶がある。女性の店主で、愛想良く注文をとってくれて、お薦め料理も教えてくれた。どんな料理を注文したかは忘れてしまったのだが、うまかったことを覚えている。料理にうるさい女房が「うまい」と言ったくらいだから、よほどうまかったのだろう。余談だが、恐妻家の私としては、この女房の笑顔ほど有難いものはない。「まずい」などと言おうものなら、私の寿命は確実に1年は縮まる。「まずい」と「うまい」はまさに雲泥の差であり、私の場合、生命にかかわるのである。
などと軽い気持ちで書いているとすっかり沖縄気分になってくる。泡盛のひとつも飲みたくなるのだが、残念ながら、手元には冷え切ったコーヒーしかない。しかも、まだ朝のうちであり、酒を飲んで酔っ払うわけにはいかない。「福州園、福州園」とつぶやいて、また思い出の中にもぐりこもうと努力する。 すると福州園の中にあった石の彫刻を思い出した。写真にもとってあり、それを見るとなんとなく笑顔になる。虎と兎がならんだ彫刻で、どことなくユーモラスなのだ。目をパッチリと見開いた虎の顔が笑っているようで面白い。確か、橋の欄干部分に、十二支をかたどった石像が並んでいて、ひとつひとつが丁寧に、かつユーモラスに作られていた。作者の人柄が偲ばれるようでほっとする。園内には、石造りのものが多く、かなり大きな石塔もあった。大理石で作ってあったような気がしたが、建築費はなかりのものだったのではないかと思う。(つづく) |
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