梓 涼

公園にて  その10 「京都 花灯路」

 バックナンバー

春近づいた三月の中旬、京都の祇園へ主人と行ってきました。お昼前に祇園到着。陽は暖かく、厚着をしていた私たちは、「暑い、暑い」を合唱していました。

祇園は、鴨川の東、四条通りを挟んで南北に広がる花街。周辺には、八坂神社、丸山公園、高台寺、知恩院、豊臣秀吉の正妻、ねねさんが晩年過ごした圓徳院などがあります。

石畳の道を歩いていると、静寂の中に聞こえる鳥の声。周りは閑静な歴史を感じさせる街並みで、立派な梅が咲いている家もありました。また、木々を上手く配置した、隠れ家的な喫茶店もあり、風流という言葉がぴったりと当てはまる景色でした。

私たちは、清水寺に続く二年坂、産寧坂へ向かいました。坂の両側には、お土産屋さんの他、茶店、お漬物屋さんなどが並び、外国の方も多く、沢山の人で賑わっていました。さすが観光都市・京都だなと改めて感じました。

京都 花灯路お土産も買い、三時前になり、主人が「レンタル着物屋へ行こう」の一言。入ったお店は、祇園の高台寺・表門前にある「染匠 きたむら」。レンタル着物屋さんは、文字通り、着物を数時間レンタルしてくれる所です。このお店には、約六十種類の着物がありました。着物も帯も自由に選べます。着付けの時間は約二十分程度。着物のレンタルの料金は着付け代も含めて五千円でした。

私は、紺色の着物を着たいと思っていたのですが、おばちゃんが初めに指してくれた紺色は少しイメージが違いました。棚を開けると、ピンクの着物がありました。「これ、よくない?」と言ってくれ、私も気に入りました。 着物選びは、なかなか楽しいものです。ピンクは普段あまり着ないのですが、着物となると別。着付けが終わり、鏡を見ると、似合っていました。

次は、帯。最初、白っぽい帯を選んでくれたのですが、私が、躊躇。ささっと、紺色の帯を出してくれました。二回ほど、白・紺をあてがい、紺に決めました。「若すぎもせず、老けすぎもせず、ちょうどいいかも」と帯もきっちり締めてくれました。最後に、髪の毛に可愛いピン止めも付けてくれました。話も面白く、六十二歳とは思えないほど、元気なおばちゃんでした。着付けが終わり、お店の人と三人で記念写真も。

着物姿で八坂神社・丸山公園、そして、圓徳院も拝観し、約二時間近く、雰囲気を満喫しました。着物は、やはりきつかったのですが、日ごろ、女っぽいしぐさなどしない私が内股で歩いてみたり、また、自分の草履の音に聞き惚れたりと、着物姿を味わいました。ちょうど、雨があがった後。人もまばらで、しんとした静寂に包まれた丸山公園は、緑が美しく、池には、まだ、芽が出始めた桜の樹が映っていました。

京都 花灯路夜には、京都・花灯路(はなとうろ)が催されていました。京都・花灯路は、祇園・東山界隈の散策路四・六キロメートルに、灯り(露地行灯)約二千四百基が設置され、夜の散策を楽しむものです。また、知恩院、圓徳院、法観寺、青蓮院、八坂神社、高台寺、清水寺などのお寺もライトアップされます。今年は三回目で、三月十一日から二十一日にかけて行われていました。

夜七時ごろに散策に出ると、たくさんの人が歩いていました。石畳の路の足元には、ほのぼのとさせるオレンジ色の暖かい明かりが等間隔で灯され、幽玄の世界が。知恩院がまるで輝くかのように、光を浴び、聳え立っていました。荘厳という言葉にふさわしい光景でした。

わび・さび。二十代では、感じとれなかった京都の美しさを実感できた旅でした。


HJ旅の小窓」TOPにもどる